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高岡を代表する
鋳物メーカー「能作」

能作は、1916年、鋳物の町「高岡」に、仏具や茶道具、花器などを製造する工場として創業。以来100年以上に渡り、伝統を守りながらも、常に新しいものに挑戦し続けている鋳物メーカーです。

そんな能作が発信する、迫力ある鋳造場、受け継がれてきた職人の加工技術、能作の取り組み・・・などなど。鋳物づくりの現場の匂いや熱気、機械の音、空気感を肌で感じながら、職人たちの卓越した技を見たり、聞いたりしてきました。

北陸新幹線「新高岡駅」から車で約15分。能作本社工場は、高岡の企業が集まる「高岡オフィスパーク」の一角にあります。オフィスパークへ入って道を直進、右側にえんじ色の屋根が目印です。

玄関には真鍮でできた「能作」の文字。「より能(よ)い鋳物を、より能(よ)く作る」を理念に取り組まれておられます。


正面入り口には木型が一面に。その数は約2500種類というから驚きです。色とりどりなのは見た目のためではなく、木型メーカーによって色分けされているとのこと。

展示してあるだけでなく、型の裏には螺旋階段があって、職人さんが使いたい型を取りに来られるそうです。

鋳込み(真鍮)

製品は、鋳型に溶解した金属を流し込む鋳造、溶接、研磨などの仕上げ加工、彫金着色を経て完成します。それぞれの工程は分業化されていて、どれも卓越した技術が必要となります。

鋳物場の入口。鋳物場なら『鋳』のように、作業工程ごとに真鍮製の文字がかかっているもの面白いですね。

金属の溶ける匂い、熱気で独特の雰囲気です。工場内は「錫」「炉」「銅」に分かれていて4~5人がチームになって作業をされていました。

能作では錫(すず)、真鍮、青銅製品の製造が行われていますが、これは真鍮の鋳込み。「生型鋳造法」という昔ながらの製法で作られています。

「生型鋳造法」とは、少量の水分と粘土を混ぜた鋳物砂を木型の周りに押し固めて鋳型をつくる鋳造法のこと。砂は再利用ができるので、量産性に優れています。

炉で溶かされた真鍮をバケツのような容器に入れて、型まで運びます。離れていても熱気が感じられるほど。とても熱そうです…

慎重に型に流し込んでいきます。キラキラと綺麗ですが、その温度はなんと約1200度。

枠が持ち上がらないように、型の上に職人が自ら重しとなります。溶けた真鍮が足にかかってしまわないかと見ている方がハラハラしてきます。

鋳型作り

金属を流し込む鋳型作り。正面入り口に展示してある型置き場から作りたい製品の木型を持ってきたら、金枠に砂を敷き詰めていきます。

ふるいにかけたり、エアブラシを使ったり。ギュっと体重をかけて砂を押し固めます。

木型を抜き取ると鋳型が出来上がります。砂を崩さないようにそーっと木型を抜き取ったり、その日の気温や天気などによって砂の配合を変えたりと、きれいな鋳物を作るために慎重に作業をしておられます。

鋳込み(錫)

錫の融点は約230度と低いので、炉ではなくガスコンロで溶かしていきます。使わなくなったサンプルや湯道(溶けた金属が鋳型へ流れる道)なども再利用します。

温度計を見て、錫を足したりしながら錫の溶け具合をチェック。約260度になるまで温めます。

錫は融点が低い分、固まるのもあっという間。複雑な型だと、流し込んだ錫が型のすみずみにいきわたる前に固まってしまうこともあり、スピードも求められます。

型ばらし

錫の型ばらし。錫が固まったら型から鋳物を取り出し、表面についた砂を取りのぞきます。製品が顔を出す感動の瞬間。砂を払い落としたら、湯道を切り離して大きなバリは取り除いておきます。

真鍮の型ばらし。高温で溶かした真鍮はすぐには取り出すことができません。20〜30分ほどおいて、固まった後、砂型を壊して製品を取り出します。砂の中から真鍮の綺麗な金色が見えます。

真鍮製品は後の加工でたくさん削るので、粗めの砂が使われています。

高温の真鍮を流し込んだので砂も真っ黒に。湯気も出ていてまだ熱そうです。

仕上げ加工

仕上げの現場は、「粗」「轆」「接」「削」などに分かれた分業制。粗削りをしたり、花瓶に取っ手を溶接したり、飲み口を磨いたり、職人さんがそれぞれの作業に没頭していました。

真鍮

粗削り

湯道を消したり、おおまかな削りの工程です。型を外したばかりの真鍮はとても分厚く、粗削りで形状を整えていきます。

轆轤(ろくろ)

粗削りされたものを轆轤で仕上げていきます。力の加減が難しく、長年の経験が必要な轆轤は、ベテランの職人さんが担当。

削られた部分の色が変わっていくのがわかりました。研磨された粉も再利用するそうです。

溶接

花瓶の底や取っ手、飾りなどを溶接します。はんだ付けの要領で、ガスバーナーを使い、ひとつひとつ取り付けていきます。

研磨

錫製品は型から出した状態がほぼ完成形。仕上げは、多くのものが磨き作業だけになります。

研磨機を使って表面のバリを取り除いて滑らかにしていきます。バフを当てる角度や強さ加減は難しく、力を入れすぎるとグニャっとなってしまうそうです。

磨き終わったら、洗浄、刻印、検品を終えて完成。いくつもの工程を経て、職人がひとつひとつ心を込めて丁寧に手作りあげた商品は、箱詰めされていよいよ私たちの元へと運ばれます。

産業観光を支える
能作と高岡

高岡銅器や高岡漆器が作られる富山県高岡市は400年以上前より続くものづくりの町。能作を先頭に「伝統を受け継ぎながら革新していこう」という姿勢も顕著な町です。

作り手とお客さんが直接話をしたり、ものづくり体験もできるイベントも多く、町全体で伝統産業を盛り上げています。

未経験者の育成にも力をいれているそうで、職人さんの平均年齢は30代前半。

ベテランの職人の高度な技術と若い職人のチャレンジ精神、アイディアが合わさって生まれる商品もたくさんあるそうです。

女性の職人さんも何人かおられました。中には、異業種から職人になった方や県外から来られた方も。職人さんの表情も活き活きとしていてほがらか。

職人さんがモノを作る姿はカッコ良い。「ここで働きたい」「職人になりたい」という思いを抱いて、多くの人が、県内外から集まってくる理由がわかる気がしました。

見学後のお楽しみ
体験・カフェ・ショップ・観光案内

玄関を入って左手には、ショップや、カフェ、体験コーナーなどがあります。錫のぐい呑を作ったり、買い物をしたり、能作の食器でランチやデザートも楽しむことができます。

錫のタンブラーで氷水を飲む体験ができます。

氷水を入れたタンブラーは、すぐにキンキンになって、口にすると、唇にも冷たさが伝わってきました。錫のタンブラーと氷の相性の良さを再確認しました。

能作の社員がおすすめする富山の観光スポット、飲食店や宿泊施設などをポストカードにして並べたコーナー。社員のアンケートで選ばれた場所やお店を実際に取材して制作しています。

もっと高岡・富山を楽しんでもらいたいという思いから作られたそうです。

実際の方角通りの、日本列島地図(真鍮製)が床にはめ込まれています。人気の撮影スポット。

ガチャポンを回して出てきたキーホルダーに、イニシャルを刻印するコーナーなど、季節に応じた楽しい企画がいっぱいです。

工場見学にかかる時間は約30分。

見学を楽しんだ後は、「IMONO(鋳物)KITCHEN」でおやつやランチ、「FACTORY SHOP」でショッピングなど楽しんでみてはいかがでしょうか。